◇「嫌われる勇気」
アルフレッド・アドラーの心理学を戯曲風というか物語風に分かりやすく解説してくれる一冊。書かれていることはごく当たり前のことかもしれないが、人生の指標となる事柄を改めて認識できる。
▷ わたくしごと(購入動機)
購入したのは今年の初め。書店でベストセラー1になっていたこの本を手にし、ユングとフロイトと並び称されるアドラーのことを少しでも知っておこうと思い購入。アドラーその人のことはあまり知ることはなかったものの、その思想は大まかにつかめたような気がする。
◇ やさしい物語を読むが如く
心理学のことや啓発的なことは多分に含まれていながら、難解な表現は皆無であり、しかもフィクションという形式をとっているのでなおさら読み切ることは難しくないはず。
平易な表現であるが故に、これは本当のアドラー心理学なのかどうか懐疑的に思ってしまう面は否めないが、入門書として捉えればここから何かが広がっていくことだろう。
▷ わたくしごと(響いた言葉)
自己肯定ではなく自己受容、すべての悩みは対人関係の悩み、課題の分離、われわれは同じではないけれども対等、いちばんいけないのは「このまま」の状態で立ち止まること、あなたの期待や信頼に対して相手がどう動くかは他者の課題で介入してはいけない、他者への貢献という導きの星さえ見失わなければ迷うこともないし何をしてもいい、以上が心に響いた言葉。決して難しい事柄ではないけれども、簡単なことでもない。
▷ わたくしごと(不満)
展開されている会話の主導権があまりにも一方的すぎて、後半は多少退屈な気持ちになった。また、非アドラー的な行為の具体例が提示されそれが否定された後、アドラー的行為とはどういうことなのかという提示があまりにも抽象的すぎて具体例が足りていないところが大いに不満。例えば─、子どもに「勉強しなさい」と言ってはいけない、ではどうするのか?それは、勉強が本人の課題であることを伝え、必要とあれば援助する用意があることを伝える─とあるが、こちらが欲するものは「勉強しなさい」に相対するアドラー的言葉だったりする。そういったところがことごとく曖昧で、はぐらされている気持ちになってしまった。
◇ 嫌われる勇気とは
世界とは、誰か他の人が変えてくれるものではなく、ただ「わたし」によってしか変わりえない。だから、嫌われる人には嫌われても構わないという姿勢で、自由に生きていくべきだ、他者貢献という星だけは見失わないようにして─。
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